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1年・1か月の拘束時間
52週・4週間平均1週間当たりの拘束時間
貸切バス等乗務者

ここでは、
①1年及び1か月の拘束時間
②52週間及び4週間を平均し1週間当たりの拘束時間
それから、
③貸切バス等乗務者
について見てゆきます。
なお、1か月の拘束時間は新設となります。それから、「1年及び1か月」、または、「52週及び4週平均1週間当たり」、これらのいずれかを労務管理・時間管理の便宜等に応じて任意に選択する、という扱いになります。

①1年及び1か月の拘束時間

(新設)

【原則】

拘束時間は、年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が281時間を超えないものとする。

【例外】

ただし、貸切バス等乗務者(※)については、労使協定により、年間6か月までは、年間3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を294時間まで延長することができるものとする。

この場合において、1か月の拘束時間が281時間を超える月が4か月を超えて連続しないものとする。

貸切バス等乗務者(※)については、下の③で改めてご紹介します。

1か月の拘束時間について

【原則】

1か月281時間の拘束時間が新設された経緯

これは、給与の締め、賃金台帳、時間外労働時間管理等の労務管理となじむことで労務管理上の利便性が高い、ことが理由となっています。

どういった計算で281時間となったか?

「4週間平均1週間当たり」では、1週65時間となっていますよね。これを1か月に拡張したとの考えと言えます。つまり、

65時間÷7日(1週間)×30.3日(1か月)≒281時間

1週65時間を7日(1週間)で割ります。すると、1日当たり9.2857・・・時間、となります。これに、1か月の暦日数の平均、おおまかなところで、30.3日をかけると、小数点以下四捨五入して、281時間となります。

年間3,300時間の上限

年間の拘束時間の上限は新設された部分です。では、どのような計算で3,300時間と設定されたか、時間を「労働時間」「休憩時間」「時間外・休日労働」に分けて考えます。

  1. 年間の労働時間:40時間(1週間の法定労働時間)×52週間(1年よりちょっと少ない)=2,080時間
  2. 年間の休憩時間:1勤務で1時間×週5日勤務で週5時間、この5時間×52週(同じく1年弱)=260時間
  3. 上記、労働時間と休憩時間を足すと2,340時間。これを12か月で割ると、195時間。この195時間が時間外・休日労働が発生しない範囲での1か月あたりの拘束時間と言えますよね。
  4. 時間外労働・休日労働:1か月で80時間と想定
  5. 195時間(1か月の拘束時間)+80時間(1か月の時間外・休日労働)=275時間
  6. 275時間×12か月=3,300時間

少し複雑かも知れませんが、このような計算となっているようです。

ただし、これはあくまで標準的な計算です。事業場ごとに所定労働時間、休憩時間いついての考え、運営等に違いがあると思います。全ての事業場にこの計算があてはまるわけではありません。個々の事業場での確認が必要となります。

なお、時間外・休日労働を80時間と想定している点につき、これは、働き方改革に基づく「時間外労働の上限規制」で、一般の労働者の時間外・休日労働の上限が、「単月で100時間未満、複数月平均80時間まで」とされているところの、「複数月平均80時間まで」の部分が根拠となっています。

【例外】

労使協定による拘束時間延長

例外として、労使協定の締結により、1年及び1か月の拘束時間が延長できることになります。

  • 1か月あたり294時間まで
  • 年間3,400時間の範囲内で
  • 1か月281時間を超える月が4か月を超えて連続しない

上記を条件としています。1か月294時間については、281時間に拘束時間13時間の休日労働を1回行うことを想定し、281時間+13時間=294時間とされています。

なお、「労使協定」について、代表的な労使協定として、「36協定」はご存じのかたが多いかと思います。36協定については、問題なく手続きができている事業場が多いかと思われます。しかし、労使協定には様々なものがあります。それぞれの目的に応じた締結が必要です。「バス運転者の拘束時間延長の労使協定」については知らない、といった事業場も結構たくさんあっているようです。

ひとつ前のページ「バス事業 改正改善基準告示の詳細」ページにリンクを貼っております「≪資料3≫令和6年4月からのバス運転者の労働時間等の改善基準のポイント」の28ページ目に記載例が載っています。また、この記載例のPDFファイルのリンクを下に貼っておきます。ご参照願います。

なお、他にも4週平均1週及び52週間の拘束時間延長の労使協定、運転時間延長の労使協定もそれぞれ記載例があります。それぞれのページでリンクを貼っております。

それから、これら、拘束時間延長、運転時間延長の労使協定は36協定と違い、労働基準監督署への提出義務まではありませんが、事務所内の掲示板あたりに張出しておいて、誰でもいつでも見れるような周知をお願いします。

注意点!

年間拘束時間3,300時間と月拘束時間281時間は、「かつ」の関係です。つまり両方の要件を同時に満たす必要があります。

例えば、年間の各月について、全て281時間で収まっていたとします。とすれば、

281時間×12月=3,372時間

となり、【原則】の年間拘束時間の3,300時間を超えてしまっていることになります。

こういった場合には、拘束時間延長の労使協定が必要となります。

月だけでなく、年の拘束時間についてもご注意願います。

②4週間を平均した1週間当たりの拘束時間

改正前

【原則】

  • 4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は、65時間が限度

【例外】

  • 貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び高速バスに乗務する者については、労使協定により52週間のうち16週間まで71.5時間まで延長可能

改正後

【原則】

  • 52週間の拘束時間は、3,300時間が限度
  • 4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は、65時間が限度

【例外】

  • 貸切バス等乗務者(※)については、労使協定により、52週間のうち24週間までは、52週間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲で4週間を平均して1週間当たり68時間まで延長可能
  • 4週間を平均して1週間当たり65時間を超える週は16週間まで

貸切バス等乗務者(※)については、下の③で改めてご紹介します。

4週間を平均した1週間当たりの拘束時間について

【原則】

4週間を平均した1週間当たりの拘束時間

4週間平均1週間の拘束時間は、65時間のままで、改正前・後で変わりありません。

52週間3,300時間の上限

1年間での管理でも3,300時間の上限が設定されておりますが、52週間の管理でも同じく3,300時間とされています。3,300時間の計算の根拠は、上記、1年間の拘束時間でご紹介したものと同じです。

ところで、52週間で3,300時間と4週平均1週間当たり65時間は、「かつ」の扱いとなります。つまり、両方の要件を同時に満たすことが必要です。

【例外】

労使協定による拘束時間延長

細かい点に変更が加えられたようです。

  • 52週間のうち、改正前は「16週間まで」だったところ、改正後は「24週間まで」と週の数は増えています。ですが・・・
  • 改正前は「1週間当たり71.5時間まで」だったのが、改正後は「1週間当たり68時間まで」と、1週間で見ると、時間短縮されています。
  • 52週間で3,400時間を超えない範囲でとの、大きな枠での限度も定められました。3,400時間の上限は、1年間での管理の場合でも同じく3,400時間となります。
  • 4週間平均1週間で65時間を超える週が16週間を超えて連続しない、と連続する回数の制限も設けられました。

なお、労使協定については、上の1か月の拘束時間の個所でご紹介した通りです。下にPDFファイルのリンクを貼っております。

注意点!

上記、「1年及び1箇月の拘束時間」でも述べておりますが、52週及び4週間平均1週間の拘束時間についても、52週間の拘束時間は3,300時間、「かつ」、4週平均1週間当たり65時間、との扱いとなります。従って、両方の要件を同時に満たすことが必要です。

ですので、例えば1週間の拘束時間が全て65時間だったとします。とすると、

65時間×52週=3,380時間

となってしまい、3,300時間を超えてしまうことになります。

このような場合でも、拘束時間延長の労使協定が必要となります。ご注意願います。

③貸切バス等乗務者

改正前

貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び高速バスに乗務する者

改正後

貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、乗合バスに乗務する者(一時的な需要に応じて追加的に自動車の運行を行う営業所において運転の業務に従事する者に限る。)、高速バスに乗務する者及び貸切バスに乗務する者(以下「貸切バス等乗務者」という。)

貸切バス等乗務者について

文章上の定義では、改正前・後で上のようになりますが、正直、何を言いたいのか良くわからない、との印象を持ちます。

要は、改正前は、路線バスのみの営業所は、そもそも、労使協定による拘束時間延長の対象外だったところ、改正後には、路線バスのみの営業所でも拘束時間延長の対象となり得る、ということになります。

ただし、路線バスのみの営業所の場合は、「一時的な需要に応じて・・・・・に限る。」となっていて、大変限定的です。これは、各種イベント等、例えば、コンサート、野球・サッカー等の試合、花火大会等で、路線バスの臨時便を想定しているようです。それで、限定的な扱いとなっていることになります。

また、路線バスのみの営業所で拘束時間延長となる場合にも、言うまでもなく、拘束時間延長の労使協定が必要となります。

村上直己社会保険労務士事務所の
村上直己です。
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1か月・1年での管理、52週・4週間平均1週間での管理、どちらにするかもう決められましたか?

1か月・1年でやっていくと既に決められている事業場もあります。前述したとおり、締め日、時間外労働の管理といった労務管理の利便性のためと仰ってました。

いずれにしても、改正前より融通が利く面もあるかと思われる一方、その分、管理が複雑になりそうな気がします。

どうやって管理していったものか、お悩みが生じるかもしれません。

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