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予期し得ない事象に遭遇した場合の対応時間の取扱い(例外的な取扱い)

ここでは、新規に規程された、
「予期し得ない事象に遭遇した場合の対応時間の取扱い」
について、ご紹介いたします。

予期し得ない事象に遭遇した場合の対応時間の
取扱い

(新設)

事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象(厚生労働省労働基準局長が定めるもの)に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日または2暦日の拘束時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができることとする。

ただし、対応に要した時間を含めて算出した時間が1日または2暦日の拘束時間の限度を超えた場合には、勤務終了後は、1日の勤務の場合は継続11時間以上、2暦日の勤務の場合には継続24時間以上の休息期間を与えるものとする。

厚生労働省労働基準局長が定める具体的な事由

  1. 運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合
  2. 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
  3. 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
  4. 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合

予期し得ない事象への対応時間の取扱いについて

新設された経緯

EU諸国には、こういった例外的な取扱いが規程されており、それを参考にしたそうです。

トラック事業、バス事業にも同様の規程が新設されています。

「厚生労働省労働基準局長が定める通常予期し得ない事象」について

まず、「厚生労働省労働基準局長が定める通常予期し得ない事象」については、上記、1.~4.に限定されています。改正への議論の中では意見として、終業時刻間際での乗車、泥酔者対応、その他の乗客の都合によるものも「通常予期し得ない事象」に含ませたい、といった主張もあったようです。運送の引受け義務により、乗車拒否ができないからという理由のようでした。

しかし、乗客都合等、曖昧なものまで含めてしまうと、例外の範囲が広がってしまいかねない、ということで、人為的なものは含めず、客観的な事由のみに限定されたもののようです。

また、「当該事象は、通常予期し得ないものである必要があり、例えば、平常時の交通状況から事前に発生を予測することが可能な道路渋滞等は、これに該当しない」こととされているようです。

上記、1.~4.には全て「運転中に」との文言が書かれています。運転前には予期し得ない事象であることが必要との趣旨の現れと言えるかと思います。

「通常予期し得ない事象への対応時間」に該当・不該当の例

例えば、

  • 車両が故障したため、急遽、別の運転者が交替して別の車両を運転した場合、この交替した運転者については、不該当となります。
  • フェリーが欠航したため、フェリー駐車場で待機した時間については、これは該当することになります。
  • フェリーが欠航したため、急遽、陸路で移動した場合、陸路での移動時間が、フェリー乗船時間と同程度である等、陸路への変更が合理的であれば、この陸路移動時間は該当し得る
  • 災害・事故での道路封鎖・渋滞では、イベント等での自然渋滞、帰省ラッシュでの渋滞とかは不該当
  • 災害・事故での道路封鎖・渋滞で、同乗者の急病への対応時間、犯罪に巻込まれての警察等への対応時間、といった場合は、車両を停車せざるを得ず、道路の封鎖または渋滞につながる、として該当する
  • 異常気象に遭遇した場合でも、警報が発表されていない場合は、不該当

こういった例が挙げられています。

「客観的な記録が認められる場合」について

次に、「客観的な記録が認められる場合」では、次の1、2のいずれの記録も必要とされています。

1.運転日報上の記録として、

  • 対応を行った場所
  • 予期し得ない事象に係る具体的事由
  • 当該事象への対応を開始し、及び終了した時刻や所要時間

2.予期し得ない事象の発生を特定できる客観的資料として、事象に応じて例えば、

  • 修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等
  • フェリー運航会社等のホームページに記載されたフェリー欠航情報の写し
  • 公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの)
  • 気象庁のホームページ等に掲載された異常気象に関する気象情報等の写し

こういった記録、資料も揃えて、運転日報と一緒に綴じておく、といった対応となりそうです。

なお、ホームページの「写し」は「プリントスクリーン」でのハードコピーで十分だろうと思われます。

「客観的な記録」が得られない場合の対応

上記の「客観的資料」について、ホームページの写し等が入手できないといった場合もあり得るかと思います。

その場合には、できる限りの詳細を運転日報に記載することで対応できることも可能らしいです。

  • 災害・渋滞等に巻込まれた区間
  • 該当する時間帯

その他、なるべく多くの情報の運転日報への記載が必要となります。

なお、これはあくまで、「やむを得ず客観的な記録が得られない場合」の措置であるため、この方法に頼ってしまうのは、いかがなものかと思います。

除外できる時間

それから、「時間」の取り扱いについて、注意が必要な点です。

この予期し得ない事象に対応した時間について、「1日(日勤)および2暦日(隔勤)の拘束時間」から除くことができるのみです。1か月の拘束時間からは除くことができません。

従って、月末とか締日直前とかに「予期し得ない事象」に遭遇した場合、1か月の拘束時間が限度を超過してしまう、といったこともあり得るかと思います。

そのため、Q&Aでは「余裕を持った運行計画を毎月作成することが望ましいです。」と記載されておりますが、そもそも、予期できないものであるため、どのくらいの余裕を持たせたものかが不明、という疑問が残ります。

とにかく、このような事象に遭遇した場合には、なるべく詳細な記録を残すことが重要だと思われます。

休息期間

休息期間について、予期し得ない事象に遭遇した後には、

  • 1日の勤務の場合には(日勤)、継続11時間以上
  • 2暦日の勤務の場合には(隔勤)、継続24時間以上

の休息期間を与えることが必要となります。

なお、余談ですが、トラック事業とバス事業では、予期し得ない事象に遭遇した後の休息期間は、通常の休息期間、つまり、「継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない」、こととなっています。

賃金についての注意点

予期し得ない事象への対応時間の賃金について、「予期し得ない事象への対応時間は、休憩に該当しない限り、労働時間として取り扱う必要があることはいうまでもないこと。」とあります。

よっぽど休憩時間に該当しない限り、労働時間または時間外労働として扱う、つまり、賃金が発生する、ことになりますよね。

この点、ご注意願います。

村上直己社会保険労務士事務所の
村上直己です。
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「予期し得ない事象に遭遇した」場合の例外では、運転日報と客観的資料をしっかりと残しておくことが最も重要だと思われます。

それと、拘束時間、休息期間の管理もちょっと複雑になってしまうかもしれません。

何しろ新設であるため、初めは混乱が生じるかもしれません。

どうやって管理していったものか、お悩みが生じるかもしれません。

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