トラック・バス・タクシー運送業の労務管理、就業規則は熊本の社労士
村上直己社会保険労務士事務所
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車庫待ち等(顧客の需要に応ずるため常態として車庫等において待機する就労形態)の自動車運転者(※)については、労使協定により、1か月の拘束時間を322時間まで延長することができる。
次に揚げる要件を満たす場合、1日の拘束時間を24時間まで延長することができる。
(※)車庫待ち等について:
車庫待ち等の自動車運転者とは、常態として車庫待ち、駅待ちの形態によって就労する自動車運転者であり、原則として人口30万人程度以上の都市においては、「車庫待ち、駅待ち等」に該当しない実態にあるものと考えられるが、人口の多少のみによって一律に判断することなく、次の各項目を満たす場合には、「車庫待ち、駅待ち等」に該当するものとして取り扱って差し支えない。
車庫待ち等(顧客の需要に応ずるため常態として車庫等において待機する就労形態)の自動車運転者については、労使協定により、1か月の拘束時間を300時間まで延長することができる。
車庫待ち等の自動車運転者とは、常態として車庫待ち、駅待ちの形態によって就労する自動車運転者であり、就労形態について以下の基準を満たす場合には、車庫待ち等に該当するものとして取り扱って差し支えないこととする。
(上記、改正前での「1日の拘束時間24時間までの延長」については、「1.2.3.の要件を満たす場合」に変更なし。)
上記、改正前・後の比較では、文章が大変長くなってしまいました。
これは、車庫待ちの定義づけの文章によるものです。
日勤の車庫待ち等についての変更点のみを見てみると、
ということになりますよね。
「車庫待ち等」とは、「常態として車庫待ち、駅待ち等の形態によって就労する自動車運転者であり、比較的作業密度が薄いこと等により、帰庫させ仮眠時間を与えることが可能な実態を有するため、一定の要件の下に最大拘束時間の延長を認めるもの」との概念自体には変更はないようです。
要は、そこまで忙しいわけではなく、お客さんからの電話を待っている時間等が比較的長いため、拘束時間を延長しても構わない、といった考えになるかと思います。
気をつけていただきい点ですが、車庫待ちでは、お客さんからの電話等を待っている時間が長く続く、といったことがよくあるかと思います。この、電話等を待っている時間、これは、待機時間となり、待機時間は労働時間です。つまり、お客さんからの電話があれば、直ちに出庫する必要がある、という意味において「使用者の指揮命令下にある時間」であり労働時間となります。休憩時間とは根本的に別物です。そして、労働時間には賃金が発生します。この待機時間と休憩時間との区別があいまいになってしまっている事業場が結構多くある気がします。運転日報への休憩時間帯の記載を怠らない、といった管理をお願いします。
「車庫待ち等」の定義について、改正に向けた議論になかで「改正前の文章では、何をもって車庫待ち等というのかわからない。明確な定義が必要だ。」との意見もあったようです。それを受けて、改正後のように書き改められました。
なお、改正後の「事業場が人口30万人以上の都市に所在していないこと」について、「現に車庫待ち等の自動車運転者として取り扱われている者の属する事業場については、(この規程にかかわらず)当該事業場が人口30万人以上の都市に所在している場合であっても、当分の間、当該事業場の自動車運転者を車庫待ち等の自動車運転者に該当するものとして取り扱うこと」とされています。
「人口30万人以上の都市」であっても、すでに「車庫待ち等」として運用している事業場であれば、改正後も継続できる、という解釈になると思います。
あと一点、車庫待ち等で拘束時間を延長するには、36協定とは別に、労使協定(車庫待ち協定)が必要です。車庫待ち協定は、拘束時間を延長するためのものであり、36協定は時間外労働・休日労働のための労使協定です。この2つは別物です。労使協定は36協定のみ、と思い込まれている事業場が大変多いような気がします。別途、必要に応じての労使協定締結をお願いします。
下に、車庫待ち等の日勤勤務の労使協定書(例)のリンクを貼っております。
車庫待ち等の自動車運転者については、労使協定により、1か月の拘束時間を270時間まで延長することができる。
車庫待ち等の自動車運転者については、次に揚げる要件を満たす場合、1か月の拘束時間については、上記の時間に20時間を加えた時間まで、2暦日の拘束時間については24時間まで延長することができる。
(労使協定による270時間までの1か月の拘束時間延長については、変更なし)
車庫待ち等の自動車運転者については、次に揚げる要件を満たす場合、1か月の拘束時間については、上記の時間に10時間を加えた時間まで、2暦日の拘束時間については24時間まで延長することができる。
隔日勤務の原則の拘束時間は、月262時間(改正前・後で変わらず)で、「拘束時間延長の労使の締結により、1か月270時間まで延長することができる」ここの部分は、改正前・後で変更はありません。
なお、「車庫待ち等」の概念、定義づけは、日勤の場合と同じです。
2つ目の点、1か月の拘束時間延長のさらに延長につき、改正前では、
「上記の時間に20時間を加えた時間まで」追加で延長が可能
でした。ここでいう「上記の時間」とは、1か月270時間のことですよね。これが、改正後では、
「上記の時間に10時間を加えた時間まで」と、10時間の短縮となります。例えば、
≪改正前≫:
となっていたわけですが、これが、
≪改正後≫:
といった扱いとなります。
なお、延長の要件の「次の要件を満たす場合」の「要件1.2.」自体に変更は見られないようです。
あとは、2暦日、つまり一勤務の拘束時間での、「要件1.2.」のを満たす場合には「24時間まで延長することができる」の部分は変更ありません。
繰返しになりますが、車庫待ち等で拘束時間を延長するには、36協定とは別に、労使協定(車庫待ち協定)が必要です。車庫待ち協定は、拘束時間を延長するためのものであり、36協定は時間外労働・休日労働のための労使協定です。この2つは別物です。労使協定は36協定のみ、と思い込まれている事業場が大変多いような気がします。別途、必要に応じての労使協定締結をお願いします。
下に、車庫待ち等の隔勤勤務者の労使協定書(例)のリンクを貼っております。
村上直己社会保険労務士事務所の
村上直己です。
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「車庫待ち等」がどういった運用になるか、今後も注視が必要だと思われます。
やはり、休憩所なり、待機所なり、ちゃんとした設備は当然必要でしょうね。
また、車内で待機している等では、車庫待ち等には該当しないでしょうね。
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