トラック・バス・タクシー運送業の労務管理、就業規則は熊本の社労士
村上直己社会保険労務士事務所
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事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象(厚生労働省労働基準局長が定めるもの)に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができることとする。
勤務終了後は、通常通りの休息期間を与えるものとする。
厚生労働省労働基準局長が定める具体的な事由
以前から規程されていた、「緊急輸送・危険物輸送」(適用除外対象業務)についての改善基準告示の適用除外とは別に、新設された規程です。
EU諸国には、こういった例外的な取扱いが規程されており、それを参考にしたそうです。
バス事業、タクシー事業にも同様の規程が新設されています。
まず、「厚生労働省労働基準局長が定める通常予期し得ない事象」については、上記、1~4に限定されています。「これに準ずる」とかの規程はなく、あくまで客観的・限定的な事象に限られています。
また、「当該事象は、通常予期し得ないものである必要があり、例えば、平常時の交通状況から事前に発生を予測することが可能な道路渋滞等は、これに該当しない」こととされているようです。
上記、「厚生労働省労働基準局長が定める具体的な事由」を見ていただくと、全て「運転中に」との文言となっています。運転前には予期し得ない事象に限られることがこの規程に現れている、と言えます。
これには、例えば、「荷主都合によるやむを得ない遅延も含ませたい」といった意見もあったようです。しかし、荷主都合等、人為的なものまで含めてしまうと、範囲が不明確になりかねない、ということで、客観的な事由のみに限定されたもののようです。
例えば、
こういった例が挙げられています。
次に、「客観的な記録が認められる場合」としては、次の1、2のいずれの記録も必要とされています。
1.運転日報上の記録として、
2.予期し得ない事象の発生を特定できる客観的資料として、事象に応じて例えば、
こういった記録、資料も揃えて、運転日報と一緒に綴じておく、といった対応となりそうです。
なお、ホームページの「写し」は「プリントスクリーン」でのハードコピーで十分だろうと思われます。
上記の「客観的資料」について、ホームページの写し等が入手できないといった場合もあり得るかと思います。
その場合には、できる限りの詳細を運転日報に記載することで対応できることも可能らしいです。
その他、なるべく多くの情報の運転日報への記載が必要となります。
なお、これはあくまで、「やむを得ず客観的な記録が得られない場合」の措置であるため、この方法に頼ってしまうのは、いかがなものかと思います。
それから、「時間」の取り扱いについて、注意が必要な点です。
この予期し得ない事象に対応した時間について、「1日の拘束時間」「2日平均1日当たりの運転時間」「連続運転時間」から除くことができるのみです。1か月の拘束時間、年間の拘束時間、2週平均1週間当たりの運転時間からは除くことができません。
従って、月末とか締日直前とかに「予期し得ない事象」に遭遇した場合、1か月の拘束時間が限度を超過してしまう、といったこともあり得るかと思います。
そのため、Q&Aでは「余裕を持った運行計画を毎月作成することが望ましいです。」と記載されておりますが、そもそも、予期できないものであるため、どのくらいの余裕を持たせたものかが不明、という疑問が残ります。
とにかく、このような事象に遭遇した場合には、なるべく詳細な記録を残すことが重要だと思われます。
休息期間について、予期し得ない事象に遭遇した後には、通常通りの休息期間を与える、こととなっています。つまり、
勤務終了後、継続11時間以上休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない
改正後の休息期間のとおりを与えることとなります。
予期し得ない事象への対応時間の賃金について、「予期し得ない事象への対応時間は、休憩に該当しない限り、労働時間として取り扱う必要があることはいうまでもないこと。」とあります。
よっぽど休憩時間に該当しない限り、労働時間または時間外労働として扱う、つまり、賃金が発生する、ことになりますよね。
この点、ご注意願います。
村上直己社会保険労務士事務所の
村上直己です。
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このページでは、新設された「例外的な取扱い」についてご紹介いたしました。
頻繁に遭遇するわけではないとは思われます。
しかし、これもあらかじめ予期できるものは、例外的な取扱いには該当しない、ということで、例えば、天気予報で大雪、台風等が予期できている、といった場合は不該当となってしまうかも知れません。
こういった点についても、具体的な運用については、今後の動向を注意したいと考えております。
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